2010年10月22日金曜日

いにしえの・・・

色々な意味合いや物語を感じさせる古典はさながらスタンダードなJAZZのよう。

百人一首にもいくつか好きな歌がある。それこそ言葉そのものの流麗さや美しい調べもあるが

そのフレーズに幾重ものイメージが浮かんでくる様を楽しむのが好きだ。



御垣守(みかきもり) 衛士(ゑじ)の焚く火の 夜は燃え 昼は消えつつ ものをこそ思へ 
大中臣能宣


篝火の灯りに揺らめく心、刹那的に「作りこまれている」歌であるけども、酔わされてもいいな、と思える。




風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ 砕けてものを 思ふころかな            
源重之


同じ恋への悩みでも更に激しく熱い。似たようなスタンスの女性歌人の歌の湿った風情と比べると、

実のある切なさというのがリアルに伝わってくる。泣き節はどことなく嘘っぽさを感じてしまうからか。




秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ
左京大夫顕輔

古語では「影」は「かがよう」が語源だそうだ。つまり影だけではなく「光」もセットだった。

いつくらいから影は影でしかなくなったんだろう。

見えぬ真理を照らす影をこの歌から思う。



あなたの心を今照らしているのは何ですか?

光にせよ影にせよ、惑う足元を照らすものであればいいと願います。

0 件のコメント:

コメントを投稿