2011年5月2日月曜日

薤露

それにしても、無力なことばに縋らざるを得なかったようなここ最近だった。

それでもこの表題のように、はかない涙に例えるような悲しみは歌いたくない。

もくもくと歩き、もくもくと紡ぐ。

ただ、じっと。




十数年前に母親と駅前の蕎麦屋(地下街再編の前なのでもうそのお店はない)にいた時、

隣り合わせた壮年のご夫婦から話かけられた。

「ふと思い立ってふらっと遊びに来たんですが、3泊4日で北海道を回ろうかと・・」

その無茶振りに母と二人で目が点になった。

北海道1周を新婚旅行に選んだ人たちを2組知っているけど

主要都市、名勝など有名なとこをくまなくポイント押さえて回るのだったら1か月近くはかかる。

実際レンタカーなどで移動してもそれくらいかかるのだから

3泊4日でそれは「いや、無理ですww」と二人で慌てて止めたw

それだったら、富良野や美瑛とか回られてはどうですか?とのアドバイスに

「はーそうですか(きっとわかってない)」とお二人ともニコニコして答えていた。

眼鏡の役所勤めでもしてそうなご主人と上品そうな奥様。



なんでこの話をなんとなく覚えていて、それが最近すごく心に残っているかというと

その3泊4日北海道1周の無理なスケジュールを組んで思いついて飛行機に乗ってきたインパクトと

記憶が確かならそのご夫婦は福島からやってきたはず、ということが重なっているからだ。




通りがかりの旅の方々である。名前も知らない。無事の可否も確かめる術もない。

何を思うにも遠く及ばないのである。どんな心配も遠方にあっては一方通行の感傷にすぎない。


それでも、あの時3泊4日を過ごした北海道の思い出が、お二人の日常の支えになっていればいいと思う。

「また北海道、行ってない所に行きたいねぇ」と思い出し語り合って。

そう願っている。

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